「南国のリゾートアイランドで、毎朝せいろの湯気と格闘することになると考えたことはありますか?」
透き通るビーチのイメージが先行するプーケットですが、実はバンコクにも引けを取らないほど多国籍な食文化が根づく街。首都ほど日本食が溢れていないこの島で暮らす私たちにとって、世界各国のハイレベルな味が日常に溶け込んでいる環境は、本当に救いそのものです。
なかでも、この島と中華料理は切っても切り離せません。かつて錫(スズ)の採掘ブームで多くの中国系移民が海を渡ってきた歴史があり、街並みだけでなく食文化の根底にまでそのDNAが色濃く息づいています。タイ料理とも従来の中華とも違う、プーケットならではの独自の食文化が花開いているのも納得です。
そんなある日、育ち盛りの息子から「Dim sum(点心)が食べたい!」という熱烈なリクエスト。観光客の大行列に巻き込まれず、地元っ子が足繁く通う本物の味を求めて、家族で秘密にしておきたいあの名店へ向かいました。
行列店を回避して辿り着く、地元民が愛する穴場
訪れたのは、プーケットタウンの中心部、プーケット通り沿いに佇む「Racharod Dimsum Bangkok (Phuket Branch)」。
プーケットの朝飲茶といえば観光ガイドの常連店が有名ですが、朝から長蛇の列に並ぶのは正直骨が折れます。その点、このお店は地元の飲茶好きや界隈の住民たちが通う絶妙な穴場。朝7時のオープンから昼過ぎにかけて活気あふれる賑わいを見せつつも、肩肘張らずにふらっと入れる居心地の良さがあります。評判の高さから、今や北部タラーンのバーンポーン交差点近くにも支店を展開するほどの実力派です。
指差しで選んで数分で蒸したて!南部スタイルの楽しさ
店内に一歩足を踏み入れると、ローカル感たっぷりの飾らない空間が広がっています。
この店の醍醐味は、プーケット伝統の南部中華スタイル。冷蔵ショーケースの中に、海老や豚肉がぎっしり詰まった小皿がずらりと並んでおり、食べたいものを自分で見て指差しオーダーします。
選んだせいろは、そのまま厨房の蒸し器へ直行。ものの数分待つだけで、真っ白な湯気をもうもうと上げながら、アツアツの蒸したてがテーブルへ運ばれてきます。
箸を入れるとプリップリの弾力が伝わる海老餃子、肉汁がジュワッと広がる豚肉点心、そして漢方の滋味が染み渡る熱々の肉骨茶(バクテー)。どれを食べても素材の旨味がダイレクトに伝わり、思わず笑顔がこぼれる美味しさです。
しかも、お会計を気にせず好きなだけ頼める財布に優しいローカル価格。好きなものを好きなだけ選んで、蒸したてを頬張るこのライブ感は、一度味わうと病みつきになります。
プーケットに暮らす贅沢を噛みしめる朝
「あぁ、プーケットに住んでいて本当によかった」
お腹いっぱい点心を平らげて満足そうにする息子の顔を見ながら、心からそう実感しました。青い海と豊かな自然に囲まれながら、日常の延長線上で世界基準の美味しいローカルグルメを気軽に堪能できる贅沢。
有名観光店の混雑を上手に避けて、本当においしいローカル飲茶の朝ごはんを楽しみたいなら、迷わず立ち寄ってほしい至極の一軒です。


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