世界No.1 YouTuberのチョコレート|MR BEAST FEASTABLES

暮らし
『99バーツ』。タイのセブンイレブンの棚の前で、私は思わず値札を二度見した。

普段食べているキットカットが40バーツ前後の世界線において、ほぼ同サイズの板チョコが99バーツというのは、明らかに強気すぎる「セレブ価格」だ。

理由は明白。パッケージに燦然と輝くのは、世界最多の登録者数を誇るトップYouTuber、MR.BEASTのロゴ。隣で息子が「MR.BEASTだ!」と目を輝かせ、興奮気味に騒ぎ立てている。

普段ならインフルエンサービジネスの口車に乗る気など毛頭ない。だが、ここまで堂々と倍以上の価格をふっかけてくるからには、よほど自信があるのだろうか。世界一の男がプロデュースした味とは、一体どれほどのものなのか――。まんまと好奇心をくすぐられ、レジへ運んでしまった。
早速、買って食べてみた。

 

……正直に言おう。ぶっちゃけ、そこまで美味しくない。

 

不味くて食べられないわけではない。ただただ「外国ならではの大味な甘さ」が舌の上に居座り続ける、極めてアメリカンな仕上がりなのだ。

 

だが、甘ったるい後味を噛み締めながら、ふと気づいた。

 

「異常なのはこのチョコではなく、私の舌のほうなのではないか?」

 

翻ってみれば、日本のコンビニのクオリティは世界の常識を完全に逸脱している。

 

わずか数百円で、海外なら高級レストラン級の繊細な味わいと技術が詰め込まれたスイーツが、24時間いつでも当たり前のように並んでいる。実際、外国人の友人を日本のコンビニへ連れて行くと、全員が棚の前でフリーズし、一口食べて本気で感動する。

 

世界基準で見れば、私たちの「美味しい」のハードルをここまで狂わせている日本のコンビニこそが、規格外のモンスターなのだ。

 

世界一のYouTuberが仕掛けたチョコを齧りながら、私は遠い日本のコンビニスイーツの狂気的な完成度に、改めて戦慄していた。

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