「パトンビーチで一番並んでいる店、知ってる?」
そう聞かれて、旅慣れた人が真っ先に名前を挙げるのが『No.6 Restaurant』です。バングラ通りからわずか70メートル。湿り気を帯びた熱気の中、そこには吸い寄せられるように多国籍な行列ができています。
でも、ちょっと待ってください。 行列ができる店=「ここでしか食べられない究極の看板メニューがある」と思っていませんか?
実は、No.6の正体は、そんな私たちの「バズる店の常識」を鮮やかに裏切ってくれる場所だったのです。
「カリスマ性ゼロ」という名の、最大の武器
このお店のメニューを開くと、誰もが一度は首を傾げます。 看板メニューと言われる「手羽先」は、確かにビールに合う。文句なしに旨い。でも、わざわざ1時間並んでまで食べる、人生観が変わるような「尖り」があるかと言われれば……正直、そこまでではありません。
さらに驚くのは、タイ料理屋なのにスパゲッティやトーストといった「洋風ブレックファスト」がしれっと並んでいること。
「何でも屋は、大体どれも中途半端」 そんなグルメ界の定説を、この店は笑い飛ばすかのように破壊しています。
なぜ、私たちは「普通」に並んでしまうのか?
No.6が若者からベテラン旅行者にまで支持される理由は、実は「特別じゃないこと」の圧倒的な完成度にあります。
ハズレがない安心感:どのメニューを頼んでも、期待した「あの味」が最高の状態で出てくる。
神がかった立地:狂乱のバングラ通りから徒歩圏内。なのに、財布に優しいリーズナブルな価格設定。
驚異の回転率:見た目の行列に絶望しないでください。店内の活気あるオペレーションにより、意外なほど早く席に案内されます。
1983年から続く、変わらない「王道」の重み
1983年の開店以来、彼らはトレンドに左右されることなく、地道に、丁寧に、地元に根付いてきました。
「人気にあぐらをかかない」
口で言うのは簡単ですが、観光地でこれを40年以上貫くのは至難の業です。高級店のような気取ったスパイス使いも、写真映えだけを狙ったデコレーションもありません。そこにあるのは、ただひたすらに「安心しておいしいタイ料理を楽しんでほしい」という、実直なプライドです。
結論:パトンビーチの「ホーム」はここにある
「何を食べようか迷ったら、とりあえずNo.6に行けば間違いない」 この信頼感こそが、SNSの映えを追い求める現代において、一周回って最も価値のある「バズり」の本質なのかもしれません。
タイの風を感じながら、冷えたビールと手羽先で乾杯する。 その瞬間、あなたはきっと気づくはずです。「あぁ、これでいいんだ。これがいいんだ」と。


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